東亞共榮圏の民族問題
細川嘉六 著
1941(昭和16)年/季刊『東亞政治と東亞經済』掲載
2,500円  A5判(148×210ミリ)/45頁/二段組
細川嘉六(1888-1962)はジャーナリスト、政治学者。戦中の特高による代表的な言論弾圧である横浜事件に連座する。 戦後は日本共産党に属し、参議院議員となる。当論文は中央公論社発行の季刊『東亞政治と東亞經済』第1号特輯「東亞共榮圏の諸問題」(昭和16年7月、定価2円)に掲載されたもの。 蠟山政道・東畑精一・伊藤律・蜷川虎三らもこの特輯に名を連ねている。当時、著者は満鉄(南満洲鉄道株式会社)の嘱託であり、論文は著作集未収録。 対米英開戦直前で配給会社「日配」からの用紙割り当ての状況下だが、植民地問題を「ドレイの言葉」で綴っていない。
唯物論研究會關係者手記(二)・戸坂潤
司法省刑事局 編
1940(昭和15)年/冊子
3,000円  A5判(148×210ミリ)/106頁
戸坂潤(1900-45)は、『日本イデオロギー論』で知られる戦前の唯物論哲学者。昭和13年以降しばしば獄中にあり、敗戦の数日前長野刑務所で病死した。 司法省刑事局は戸坂を岡邦雄とともに昭和7年(1932)に結成された唯物論研究会の中心人物とみなし、昭和14年(1939)杉並警察署に収容中の戸坂の手記を「思想資料パンフレット特輯」として冊子化した。 唯研の成立事情・活動・基礎理論が綴られている。巻末に「執筆論文一覽表」を付す。 表紙に「極秘」「取扱注意」と印刷され、定価表示がないことから、治安当局者内で閲覧した内部資料と判断される。全集(1967年)に未収録。
関東合同争議調査記録(1926年8月-1931年3月)
法政大学大原社会問題研究所 編
発行年不詳/労働運動史資料第一集
2,500円  A5判(148×210ミリ)/64頁 タイプ謄写版
大正8年(1919)より『日本労働年鑑』を編纂していた法政大学大原社会問題研究所が、未整理の原資料を発表した第一集。 戦前の労働争議の態様を知ることができる。本書では関東合同労組の争議を取り上げている。 大和護謨会社・日本硫肥株式会社・拓殖ゴム合資会社・東京機工会社など56の争議発生工場(ほとんどが従業員100名未満の中小企業)の、所在地・工場主名・資本金・従業員数・支部設立時・争議原因・要求項目・解決条件・争議期間・参加人員などの諸項目がデータ的に網羅されている。
高坂正顯大東亞戰論文集
高坂正顯
『改造』昭和17年新年號+『中央公論』18年6月號掲載
2,500円  A5判(148×210ミリ)/合計34頁/二段組
高坂正顯(1900-69)は、西谷啓治・鈴木成高・高山岩男とともに京都学派を代表する哲学者。 大東亜戦争下の昭和17年(1942)7月に行われた「近代の超克」座談会に、西谷・鈴木・下村寅太郎とともに出席した記録が文藝誌『文學界』同年10月号に掲載された。 これに先立って高坂は論説誌『改造』同年新年号に大東亜共栄圏についての、翌年の『中央公論』6月号に思想戰に関する論文を発表している。 これらは重大時局下における指導的論文であるにもかかわらず、著作集(2011年)に収録されていない。
片岡健吉
松永文雄 編
1903(明治36)年/中庸堂書店 発行
3,000円  四六判(128×188ミリ)/168頁
片岡健吉(1843から1903)は旧土佐藩士にして、乾退助のもとで土佐の軍制改革を担い、戊辰の役で東北に転戦。 維新後、征韓論敗北を期に下野して自由民権運動に奔走し、林有造らと立志社を設立する。また、キリスト教徒として生き、その精神的・道徳的改革者としての姿は、功名・富貴・権勢に恋々とする藩閥の徒と対極のものだった。 維新革命の志士・民権論の主唱者・立憲政治の建設者・武士的キリスト教徒としての信仰にスポットをあて、政治界の徳行家として著わされた片岡の伝記。定価25銭。
維新後の人物と最後
岩崎徂堂・須藤靄山 共著
1902(明治35)年/求光閣書店 発行
2,500円  A5判(148×210ミリ)/132頁
明治時代に伝えられた著名人物の生前と最期の行状。 紹介されている人物は、星亨・森有礼・西郷南洲(隆盛)・田中平八・木戸松菊(孝允)・山岡鉄舟・睦奥宗光・桐野利秋・江藤新平・大久保甲東(利通)・勝海舟・玉乃正履・末広鉄膓・沼間守一・福澤諭吉・中野梧一・河野敏鎌・山城屋和助・新島襄の20名。 維新後の政治家・軍人、実業界・言論界・宗教界の人物も含む。著者のモチーフは「世の忠君愛国の志士に先人の行に則るところあらしめん」とすることにあった。一部に少量の書き込みあり。

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