人民評論 1948年9月号
伊藤長夫 編
1948(昭和23)年/伊藤書店 発行
2,000円  A5判(148×210ミリ)/66頁
敗戦後に創刊した左翼系雑誌の一つと思われる。掲載広告もほとんど左翼系出版社のもの。 特集として「反ファシズム闘争の足跡」「戦時下の日本文化弾圧・抗争の歴史」を組んでいる。後者は座談会で、古在由重・村山知義・岩上順一・亀井文夫らが出席・発言している。 戦中はすべてが「暗い谷間」であったわけではなく、反戦・反ファシズム人民戦線がたたかわれていたとし、それを継承することを標榜する雑誌。 戦時下の代表的な言論弾圧であった「横浜事件」についての回想も載せている。原定価35円。
日本的なるものに關する論調
筆者記名なし
1937(昭和12)年/『出版警察資料』第三十號(13年2・3月、「秘」扱い)に所載
1,500円  A5判(148×210ミリ)
満洲事変(昭和6)以降、「日本主義」「日本精神」に関する論議が活発化した。日本的革新についての関心が持たれ、100篇近い論文がメディアを賑わせた。 代表例として、長谷川如是閑「日本的性格の再検討」、阿部次郎「日本を愛する心」、林房雄「日本主義論争の鍵」、岡崎重惠「日本文藝の特質」、久松潜一「國文學と日本的なるもの」、大森義太郎「日本への省察」、猪俣津南雄「日本的なものの社會的基礎」、佐藤春夫「民族への自覺」、門屋博「思想と民族性」、淺野晃「文化の擁護」など、左右を越えた20篇を紹介。 いずれも民族・伝統・国民文化・日本学にかかわる立論。
同志社の歩み-戯画八十年史-
野崎 乗 著
1955(昭和30)年/カレッジ社 発行
2,800円  四六判(128×188ミリ)/104頁
昭和30年の創立80年にあたって同志社の学風を広く世に示さんと、一卒業生が短文と戯画で同大を紹介した。黎明期・明治期・ 大正期・昭和期(戦前・戦後)に分かれてその歴史が端的に著され、浩瀚な年史よりも親しみながら校史を知ることができる。 千年の古都にキリスト教洋学校を創ることは偏見や弾圧との闘いであり、また、高まる軍靴の中での青春でもあった。
人権じゆうりん職権乱用 事実調査報告書
同志社学生新聞局 ほか 編
1952(昭和27)年/冊子
1.000円  A5判(148×210ミリ)/32頁 新聞記事付き
同志社大学の昭和27年三大事件(北川博士ショック死事件・同志社大トラック事件・7.2不法逮捕捜査事件)の事実調査報告書。編集 は同志社救援会、発行は同志社学生新聞局新聞部。ここで「北川博士」といわれている北川彰はキリスト者の開業医・医学者。長女 さくらは同志社大文学部3年在学。さくらは破防法反対運動で逮捕され、彰は娘の釈放運動に起ち上がっていた。
名士名家の夫人
須藤靄山(愛司)著
1910(明治43)年/大學館 発行
3,000円  四六判(128×188ミリ)/222頁 口絵4枚を含む。
明治期の名士とされる約130人の、その夫人の人となりを網羅している。名家たるには、妻女は才や美だけでは不足であり、 「家を守り子女を育てる」特殊の実歴がなければならないと主張する。当時の立身出世観・良妻賢母観・家族国家観を全面 的に体現した出版物。維新の元勲はもとよりだが、明治期にどのような家が「名家」と数えられていたかも窺える。定価25銭。
第三帝國の思想
石田友治(益進會同人)編
1915(大正4)年/冊子
2,800円  四六判(128×188ミリ)/合計252頁
ここでの「第三帝国」とは、ナチスではない。大正2年(1913)に宗教家・石田友治が万朝報記者・茅原華山とともに創刊した、 大正デモクラシーを代表する雑誌の誌名。その思想内容を紹介した冊子が本書。「霊肉一致」を主唱した文芸思潮的な概念であり、 政治上は民本主義・反植民地主義・小日本主義。執筆陣に堺利彦・大杉栄・平塚らいてう・伊藤野枝ら、読者に鈴木茂三郎や宇野弘蔵ら。

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